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小林よしのり
2019.7.17 10:25日々の出来事

ポリコレ「007」にがっかり

「007」が黒人女性になるそうだ。
ポリティカル・コレクトネスの極致である。

以前から「007」は男尊女卑・マッチョイムズの映画だと
批判されていたのだが、「007」はそういうものとして
楽しむのが当然である。

ダンディで、タフネスで、知的で、勝負カンが鋭くて、
圧倒的に女性にモテて、セクシーという、男の憧れが
詰まっているのが「007」であり、中学生の時には、
女のヌードのシルエットが乱舞するタイトルクレジット
を見るだけで興奮していたものだ。

新作では、あのタイトルクレジットは、男のヌードが
乱舞することになるのだろうか?
そんなものは断固として見たくない!

わしは女性の地位向上に賛成するし、「スターウォーズ」
の主人公が女性になっても違和感を持たなかったし、
王子さまを必要としない「アナと雪の女王」も大好き
なのだが、それをポリコレとは感じなかった。
作品世界を壊すものではない。

だが「007」の主人公を黒人女性にする必要があるとは
全然思えない。それこそ作品世界の破壊である。
強い女性を主人公にしたスパイ映画なら「チャーリーズ・
エンジェル」があるじゃないか!
テレビシリーズも好きだったが、映画化されても全部
見ている。

「007」はやっぱり白人男性でなければサマにならない。
アジア人男性でもダメだ。
ボンド・ガールの呼称を、ボンド・ウーマンにする
くらいの変更は認めるが、「007」を黒人女性にする
ことは、あまりに政治的なイデオロギーを感じて、
うんざりだ。

多分、白人女性にしても差別と思われると案じ、いっそ
黒人女性にしてしまったのだろう。
それが一番衝撃的で話題になると思ったのだろうが、
「007」にまで政治的平等性を持ち込んで何が楽しいの
だろうか?
むしろ「表現の自由」を狭めていると感じてしまう。

男の美学がもう「007」では見られないのか。
ガッカリした。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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